史上最高の哲学入門書の著者が書く哲学実践書|『体験の哲学』

体験の哲学 ブックレビュー

今回は飲茶さんの『体験の哲学』という本を紹介します。

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体験の哲学 地上最強の人生に役立つ哲学活用法 (一般書 344) [ 飲茶 ]
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飲茶さんといえば、本ブログでも紹介した『史上最強の哲学入門』で有名な哲学作家さんです。

哲学入門書のおすすめ|『史上最強の哲学入門』これを読んでおけば間違いない!
哲学書の入門書ってたくさんありますよね。 初めて入門書を買う方はどの本を買えばいいのかわからないかもしれません。 ...

私は本当にこの本が大好きで、オーディブルで何度も繰り返し聴いています。
そんな飲茶さんの新刊本が今回紹介する『体験の哲学』です。

この本は、これまで何冊ものわかりやすい哲学入門書を書いてきた飲茶さんが「哲学をどう人生に役立てるのか?」という問いに答えた実践本です。

体験を意識して味わって生きよ

本書は、いきなり「哲学をこういう風に人生に役立てます!」と解説が始まるのではなく、哲学書らしくまずは「生きている」とはどういうことかという定義から入っていきます。

飲茶さんは生きていることを、「あなたが何らかの『体験』をし、それを感じている(味わっている)状態のことである」と定義しています。

すぎもと
すぎもと

「生きているとは何か?」というテーマで哲学対話をしたことがあります。その際、生きているを「知覚を受容している自意識の認識である」と定義しました。それと近いものを感じます。

経験主義の哲学者ヒュームは「私とは知覚の束である」と言いましたが、飲茶さんはこれを「人生とは体験の束である」と言い換えています。

人生が体験の束であるならば、一つ一つの体験の質が向上すれば、人生全体の質も向上するはずです。

つまり本書の一番のメッセージは以下の通りです。

普段見過ごされている日常的な体験に目を向け、その体験を意識して味わって生きよ。

そのための手法として、本書の巻末にあるチェックリストを活用することが提案されています。

巻末には、ジャンルごとに様々な名詞がチェックリストになっています。例えばフルーツというジャンルの中にはイチゴやメロン、ブドウなどがあり、イチゴを体験したらイチゴのチェック欄を埋めます。
(このチェックリストは思った以上に多くて40ページにわたっています…!)

何も感じない人間は哲学的ゾンビ

人生における体験の重要性を考えるためには、逆を考えるのが効果的です。つまり、何の体験も味わっていない人生です。

しかし、人間は何の体験も味わわずに生きることは可能なんでしょうか?
飲茶さんはむしろ意識しなければ感覚はどんどん無くなっていくと言います。

私たちは普段地面と必ず接していますが、その接地面の皮膚の感覚を四六時中感じているでしょうか?
恐らくそんな人はいないと思います。常に地面との感覚を意識していたら通常の日常生活に支障をきたしてしまうでしょう。

しかしこれと同じようなことが、意識するべき体験に対しても起きてしまっています。スマホを見ながら食事している時、食事を100%味わっていると言えるでしょうか。
冷静に考えれば刺激的である体験を、特に意識しないがために何でもない体験だと判断してしまっていることは少なくなさそうです。

「身体は習慣通り日常生活を営んでいるが、内面的には何も感じていない人間」を哲学の世界では「哲学的ゾンビ」と呼びます。
飲茶さんによると、哲学ゾンビになった人間は、一瞬で時間が過ぎ去り、気づくまもなく寿命を迎えて、あっけなく生涯を終えてしまうそうです。

体験を意識する重要性はわかっていただけたと思います。

哲学対話と「体験」

私は一年以上、毎週哲学対話を開催してきました。
そこで、哲学対話が「体験」にどう役に立つのかも少し考えてみたいと思います。
(ここからは本の内容ではありません)

私の開催している哲学対話では、テーマに関する体験を投げ合って、言語化していきます。
例えば、「幸せとは何か?」というテーマであれば、幸せを体験した事例を出し合い、「幸せ」を定義します。

一度対話を行うと、その事象を体験した時にその事象をより強く体験できるようになったと感じています。その理由を深く考えてみると、「言語化した」という結果よりも「考える」というプロセスが大きいのだと思います。
飲茶さんも、「体験している瞬間は、その体験そのものを味わい、言語化をしないでほしい」と本書で言っています。

一度その概念を徹底的に考えることによって、その概念を体験した時に、「考えたという経験」がアンカーとなって強く意識に残ります。

以前、「気まずさとは何か?」というテーマで哲学対話を行いました。
その哲学対話の後、挨拶するかしないか微妙なラインの知り合いとエレベーターで二人っきりになり、とても気まずい思いをしたことがあります。そのとき感じたのは、気まずさから来る不快感ではなく、「なるほど、気まずいとこういう感情になるのか!」という自分への内省からの気づきでした。

少し違うかもしれませんが、これも「体験」を意識する一種の例だと思います。

人生をよりよく生きるために

今回は飲茶さんの『体験の哲学』を紹介しました。

飲茶さんの書く本はどれもそうですが、本書も例によって哲学の知識は一切不要です。

ぜひ、より良い人生を生きるために読んでみてください。チェックリストが埋まる頃には充実した人生を味わっているはずです。(私も頑張ります)

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