今回は「人はなぜ働くのか?」という問いについて考えてみました。
働く理由は人それぞれだと思います。
お金のために働くという人もいれば、仕事が面白いから働く人、なんとなく働く人。
多くの人は「なんか働いてみたいから働いてみよう!」などという能動的なきっかけではなく、「大学を卒業して就職するタイミングになったから働く」というような受動的なきっかけで働き始めていると思います。
そのため、「なぜ働くのか?」という問いを考えたことがない人も多いと思います。生きていくために働かなければならないのは当たり前なのに今更何を問うのかと思う人もいるかもしれません。
ただ、実際に働いてみると、この問いが頭をよぎることがよくあります。特に面白くない仕事をしている時によく考えます(どんなにやりたかった仕事でも面白くない側面はあるものです)。
改めて自分に対して、こう問いかけてみてください。
「なぜ自分はいま働いているのか?」
「給料をもらう必要がない程お金を持っていたとしても働き続けるのか?」
「”今日は働いた〜!”と思うのはどのような時か?」
私自身の中で問い直してみると3つの要素が浮かんできました。
- 対価のために働く
- 自己成長するために働く
- 貢献するために働く
対価のために働く
最もわかりやすい答えが「対価」です。
私が今働いているのは、今月の家賃を払うためであり、食べ物を買うためであり、娯楽を楽しむためです。もし明日から働くのをやめたら半年後には生活に困窮するでしょう。
対価を得るために自分の労働力を商品として会社に提供する。そうして得た対価によって、自分自身の衣食住を調達し、人生を楽しむことができます。
「対価」は「働く」ための重要な動機の一つですがそれが全てではありません。対価のみが働く動機なのであれば、最も楽で最も給料の良い、いわゆるコスパの良い仕事を求めるはずですが、必ずしもそうではないでしょう。賃金が安くても自分のやりたかった比較的大変な仕事につく人は多く存在します。
自己成長のために働く
「自己成長」のために働くというのも考えられます。私はこの要因が最も大きかったです。
将来本当に自分のやりたいことをやるために今を働くことで必要なスキルを手に入れるという現実的な動機の「自己成長」もあれば、成長すること自体がRPGのようで楽しいというゲーム的な動機「自己成長」もあると思います。
私の今の仕事から自己成長の実感が全くなくなった場合、「人生を無意味に過ごしている感」を感じてしまい、さらなる成長のため転職を検討することは容易に想像できます。
貢献するために働く
対価が得られて、自己成長を感じていても、働くモチベーションが湧かない場合があります。それが貢献感のない仕事です。
貢献感のない仕事には、詐欺グループでの仕事など、悪事に加担する仕事はもちろんですが、資本主義が高度に発展した現代では、「こんなことやって誰が得するのか?」と思ってしまう仕事も存在します。
そのように貢献を感じられない仕事では働く気になりません。裏返せば、対価と自己成長がない場合でも貢献しているという実感だけでもあれば働くことはできます。例えば、ボランティアや家事などがその一例になっている人もいるかもしれません。
対価/自己成長/貢献にはグラデーションがある
ここまで「なぜ働くのか?」という問いに対して、「対価」「自己成長」「貢献」という3つの要素を挙げてみました。
この3つの要素は相互に関連し合っています。例えば私の場合、最も強い働く動機は「自己成長」だと思っていますが、成長することで、より対価が得られるようになり、より他者へ貢献できるようになるという側面もあります。そしてそれに対して喜びを見出しますし、もっと働こうと思うこともできます。
他の例を挙げると、「対価」が最も強い動機だけれど、それによって家族に「貢献」しているという人もいるでしょう。
また、各要素の感じ方の順番も人によって異なりそうです。
まずは生きるために「対価」を得るために働き、それが「自己成長」につながり、他者に「貢献」できるようになるという人はいるでしょう。
一方、他者に「貢献」するために働き始め、その貢献の結果「対価」がついてくる。この場合「自己成長」を自覚的に感じることはあまりないかもしれませんが、より大きな「貢献」と「対価」を得るためには「自己成長」も不可欠です。
3要素の感じ方は人によって強弱があり、それぞれ結びつき方、順序も人によって異なります。これが「働く理由は人によって異なる」ということの内実ではないでしょうか。
ただし、この3要素は人が働くことの動機を説明する上では普遍的に適用できるのではないかと思います。
自分にとっての「なぜ働くのか?」を考えることで
「対価」「自己成長」「貢献」のどの要素が、自分にとって最も大事なのか、それらの関連性を自分はどのように捉えているのかを自己認識しておくことは非常に意義あることだと思います。
働くモチベーションが下がった時には、3要素のうちどこに問題があるかを点検することができますし、自分が最も幸福を感じる働き方を追求することもできます。
現代社会では、良くも悪くも多くの時間を働くことに費やしています。この時間を幸福に過ごせるかどうかは、幸福な人生を歩めるかどうかに直結する問題だと感じています。
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