哲学対話「生きがいとは?」|人は何に生きがいを見出すのか?

生きがいとは? 対話レポート

「生きがいとは何か?」

生きがいはあれば人生が豊かになりそうです。ではどんな条件が揃えば人は生きがいを感じることができるのか、哲学対話で考えてみました。

哲学対話の手順についてはこちらの記事をご覧ください。

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対話の流れ

どんなことに生きがいを感じてきるか?

今回の参加者の方々は私も含めて、生きがいを持っていない人がほとんどでした。
生きがいを探しているから参加しているという人が多かったので当然と言えば当然です。

そこで、自分自身ではなく「この人はこれが生きがいなんだろうな」という他者の生きがいに対する確信を事例としてあげてもらいました。

 

母がボランティアで学校運営している。とても情熱があるから母にとっては生きがいだと思う

 

子供ができたら子供を育てることが生きがいになると思う

仕事が生きがいって人もいそうだよね

という流れでどんどん出していきました。

対象に対する情熱・主体性

そこに共通していたのは「多くの時間を費やしていること」です。「生きがい」というだけあって片手間でできる生きがいはなさそうですね。

ではたくさん時間を費やしていれば全て生きがいになるのか?
私たちはそれに反する事例をたくさん知っています。
上司への不満を溜めながら社畜のように働くサラリーマンにとって働くことは生きがいではないでしょう。

その一方で仕事が生きがいという人も確かにいます。その人たちは仕事に対して情熱を持って主体的に取り組んでそうですよね。主体的に自分から時間を差し出すというところがキーワードになりそうです。

生きがいは人生を意味づける

視点を変えて、私たちは”なぜ”生きがいを求めるのかを考えてみます。

その視点から考えてみると「高齢者の生きがい探し」というワードが浮かびます。

確かに仕事一筋で働いてきた高齢者にとって引退後に生きがいがなくなるという話はよく聞きます。
このときの高齢者はただ暇潰しをするために生きがいを探しているのでしょうか?

そうではないと思います。
ただの暇つぶしではなく、自分が生きる意味を見つけるために生きがいを探していると考える方が納得できます。

これは高齢者に限ったことではなく私たちも同じです。

つまり、自分の人生をドラマティックに生きるために、人生を意味づけるために生きがいを求めている。

生きがいを得ている人を考えてみます。
子育てが生きがいの人は、自分の子供を育てあげることがその人にとっての生きる意味になります。

生きがいは必ずしも人生を通して続くわけではない

ここまで考えると生きがいは流動的であることもわかります。
仕事が生きがいの人は仕事を引退すれば、子育てが生きがいの人は子供が大人になれば、その生きがいは消滅します。
そしてまた新しい生きがいを求め始めます。

つまり一つの生きがいが意味づけるのは人生の中の限定された期間です。

生きがいとは人生の時間全てを打ち込むものだというイメージがありましたが、必ずしもそうではないようです。

ただ、今生きがいを感じている人はそれが一生を通しての自分の人生の意味だと確信しているはずです。

本来限定された期間が、永遠の使命(このために私は生まれてきた)だと感じられる

これも生きがいの大きな要素の一つになりそうです。

「生きがい」と「将来の夢」

生きがいがないという参加者のみなさんも将来生きがいにしたいことがある人は何人かいました。いわゆる「将来の夢」ですね。

将来「子供に関わる仕事」を生きがいにしたいけど、まだ何もできていないから生きがいと呼ぶのはおこがましい気がする。

すでに行動して、自分の時間を費やしていなければ生きがいとは呼ばなそうですね。

 

ただ、将来の夢の実現ために努力するというのは行動しているにも関わらず、生きがいと呼ぶには違和感があります。

その行動が安定して継続する、つまり人生の多くの時間をかけるという心理的保証がなければ生きがいと呼べないのかもしれません。

まとめ

これまでの対話をまとめると「生きがいとは自分の時間を費やすための人生のシナリオである」という定義になりました。

生きがいになる対象は人によって様々ですが、「自分で主体的に選び取る」こと、「情熱を持って行動している」ことが条件になりそうです。

また、とりあえず始めたことがやっているうちに生きがいになったという事例も多くありました。

行動しているうちに情熱があとから付いてきて、それが人生のシナリオまで昇華するというのは生きがいを探している人にとってヒントになるかもしれません。

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